不動産の贈与について

上の画像は、
2010年度 法学検定試験のパンフレットに掲載されている
2009年度の出題例。
2級問題(民法)
AはBとの間で、A所有の不動産甲をBに贈与する契約を結んだが、
その旨の書面は作成しなかった。
この場合に関する以下の記述のうち、判例がある場合には判例に照らして、
誤っているものの組み合わせを1つ選びなさい。
ア.Aは、履行が終わっていない間は撤回できるが、
この撤回をすることができる期間は
契約の時から5年に制限されている。
イ.甲を占有改定によりBに引き渡した場合には、
Aは、贈与契約を撤回できない。
ウ.Aは、甲不動産に瑕疵があったとしても担保責任を負わないが、
その瑕疵を知りながらBに告げなかったときは、
担保責任を負わなければならない。
エ.負担付贈与の場合はBも撤回できるが、
負担付贈与でない場合には、Bの側から撤回することはできない。
オ.負担付贈与の場合は、Bが負担を履行しないと、
Aは契約を解除できる。
1.アウ
2.アエ
3.イウ
4.イオ
5.エオ
答えは、2.アエ。
贈与は、
諾成契約(だくせいけいやく)で良くて、
契約当事者の合意だけで成立する。
なので、贈与の際に、
書面を作成しても良いが、
無理に書面を作成する必要はなく、
口頭でも成立する。
それを踏まえて、
問題文"ア."を見てみると、
"契約の時から5年に制限されている。"
と書いてあるが、
書面によらない贈与の場合、
履行が終わっていないのなら、
期間は制限されておらず、いつでも撤回することができる。
履行が終わった、というのは、
引渡しが終わった、というのと同じ意味。
書面によらない贈与の場合、
当事者に慎重さが足りない場合があるので、
撤回可能にしている。
なので、
問題文"ア."は間違っている。
ただし、
履行が終わっている場合は、
撤回できない。
また、
書面による贈与の場合は、
書面に意思が現われていて、
履行が終わっている、
とみなされるので、撤回できない。
問題文"イ."の占有改定というのは、
代理人が自己の占有物を
以後本人のために占有する意思を表示したときは、
本人は、これによって占有権を取得する。(民法183条)
という意味。
簡単に言うと、
自分の物を、代わりの人が、
自分に代わって持っている状態のことを言う。
占有改定で不動産を引き渡すと、
履行が終わったとみなされるので、
贈与契約は、撤回できない。
なので、
問題文"イ"は正しい。
問題文"ウ"の瑕疵(かし)は、
欠陥、不足、ミスといったような意味がある。
民法551条1項に、
贈与者は、
贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、
その責任を負わない。
ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら
受贈者に告げなかったときは、この限りでない。
と書かれているので、
問題文"ウ"は、正しい。
もし、
不動産を、贈与ではなく、
売ろうとした場合、
売主は、瑕疵担保責任を負うことになる。
瑕疵担保責任というのは、
売買の目的物に、
普通に注意をしていても気付かない隠れた瑕疵(雨漏り・シロアリ等)がある場合に、
売主が買主に対して負う責任のこと。
隠れた瑕疵により、
契約の目的を達することができない場合、
買主は、契約解除ができる。
また、この条件を満たさないとき、買主は、
損害賠償請求を請求することができる。
瑕疵担保責任が追及できる期間は、
買主が瑕疵に気付いた時から、1年間に制限されている。
問題文"エ"・"オ"の負担付贈与というのは、
受贈者が、一定の負担(義務)をする贈与。
不動産でいうと、
残りの住宅ローンの支払いを、
受贈者が負担する、といった感じ。
書面無しなら、負担付贈与でも、
負担付贈与でない場合と同じく、
履行しなければ撤回できる。
なので、
"問題文"エ"は、間違いということが分かる。
また、
受贈者が負担を履行しない場合は、
贈与者は契約を解除できるので、
問題文"オは、正しい。
という訳で、
誤っているのは、問題文"ア"と"エ"になるので、
"2.アエ"が正解になる。
JUGEMテーマ:法律
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